骨粗鬆症と歯科の関係とは?歯周病や抜歯、薬剤関連顎骨壊死について
- 2026年10月25日
- 一般
骨粗鬆症の治療に用いられる薬の一部では、抜歯などの外科的処置後に、まれに「薬剤関連顎骨壊死(MRONJ)」が生じる可能性があります。一方で、薬を自己判断で中止することにもリスクがあるため、歯科医師と主治医が情報を共有し、個別に判断することが重要です。
骨粗鬆症とは?
骨粗鬆症とは、骨密度の低下や骨の構造の変化などにより、骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
特に、背骨、手首、太ももの付け根などで骨折が起こりやすく、高齢者では寝たきりや生活の質の低下につながることがあります。女性では、閉経後に女性ホルモンが減少することで、骨密度が低下しやすいとされています。
骨粗鬆症は自覚症状が少ないまま進行することもあるため、必要に応じた検査や、医師による適切な治療・経過観察が大切です。

骨粗鬆症と歯科にはどのような関係がある?
骨粗鬆症では全身の骨量や骨質が変化するため、歯を支える歯槽骨にも何らかの影響が及ぶ可能性が研究されています。
ただし、骨粗鬆症と歯槽骨の状態、歯の喪失との関係については、研究結果が一貫しているとは限らず、年齢、性別、喫煙、糖尿病、口腔衛生状態、歯周病の程度など、複数の要因を考慮する必要があります。
骨粗鬆症があるから必ず歯が動揺したり、抜歯が必要になったりするわけではありません。
骨粗鬆症の方も、歯周病の予防と早期発見のために、毎日の歯磨きと定期的な歯科検診を受けることが大切です。
骨粗鬆症と歯周病の関係
歯周病は、歯と歯ぐきの境目に付着したプラーク中の細菌などによって、歯ぐきや歯を支える組織に炎症が起こる病気です。
進行すると歯槽骨が吸収され、歯が動揺したり、場合によっては抜歯が必要になったりすることがあります。
骨粗鬆症と歯周病は、いずれも骨に関係する病気ですが、両者の直接的な因果関係については、現時点で明確に結論づけられているわけではありません。共通するリスク因子や全身状態が影響している可能性もあり、個人差が大きいと考えられています。
骨粗鬆症の薬と歯科治療の注意点
骨粗鬆症の治療では、ビスホスホネート製剤、デノスマブ、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、テリパラチドなど、病状に応じてさまざまな薬が使用されます。
このうち、骨吸収を抑える作用を持つ薬を使用している方では、抜歯などの顎の骨に関わる処置後に、まれに顎骨の露出や壊死が生じることがあります。これを、薬剤関連顎骨壊死(Medication-Related Osteonecrosis of the Jaw:MRONJ)と呼びます。
薬剤関連顎骨壊死は頻度の低い合併症とされていますが、発症した場合には治療や経過観察が長期に及ぶことがあります。一方で、薬を使用している方が必ず発症するわけではなく、薬の種類、投与方法、使用期間、基礎疾患、口腔内の感染、喫煙、糖尿病など、複数の要因が関係すると考えられています。
また、薬剤関連顎骨壊死は抜歯だけでなく、歯周病などの感染や、入れ歯による粘膜の傷などをきっかけに発症する可能性も指摘されています。そのため、外科処置の有無にかかわらず、口腔内を清潔に保ち、感染や粘膜の傷を放置しないことが大切です。
骨粗鬆症の薬を使用している方は、歯科医院で次の情報を伝えましょう。
● 薬の名前
● 飲み薬か注射薬か
● 投与間隔や使用期間
● 骨粗鬆症以外の病気や使用中の薬
● かかりつけの医師の情報
なお、薬剤関連顎骨壊死を心配して、自己判断で薬を中止することは避けてください。休薬によって骨折リスクが高まる可能性もあるため、薬を中断するかどうかは、骨折予防の必要性、全身状態、薬の種類や投与状況、歯科処置の内容などを踏まえ、主治医と歯科医師が連携して判断します。
抜歯を受けるときに大切なこと
骨粗鬆症の薬を使用しているからといって、必要な抜歯を一律に避けるべきとは限りません。
抜歯を先延ばしにすることで、歯周病や根尖性歯周炎などの感染が悪化し、かえって口腔内や全身への負担が増える可能性もあります。そのため、抜歯の必要性と、保存できる可能性の両方を検討し、個別に治療方針を決めることが重要です。
歯科医師は、薬の種類、投与方法、使用期間、基礎疾患、口腔内の感染状態、抜歯の難易度などを確認します。場合によっては、抜歯以外の治療方法を検討したり、処置後の経過観察を慎重に行ったりします。
お薬手帳や薬剤情報提供書を持参すると、正確な情報共有に役立ちます。
骨粗鬆症の方が取り組みたい歯科ケア
骨粗鬆症の方は、歯を失ってから治療するのではなく、歯を失わないための予防を意識することが大切です。
毎日のセルフケアを見直す
歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れを十分に落とせないことがあります。歯間ブラシやデンタルフロスも取り入れ、磨き残しを減らしましょう。
定期検診を受ける