「痛くなったら歯医者」では遅い?定期検診で歯はどれくらい守れるのか
- 2026年9月6日
- 予防歯科
「歯医者は痛くなったときに行けばいい」
そう考えている方も多いのではないでしょうか。
確かに、痛みや腫れが出たときに歯科医院を受診することは大切です。しかし、「歯をできるだけ長く残したい」という視点では、症状が出てから治療するだけでは十分とはいえません。
では、治療が必要になったときだけ歯科医院に行く人と、定期的に検診・メインテナンスを受ける人では、実際にどのくらい差が出るのでしょうか?
定期的に通う人は「歯を失うリスク」が約44%低かった
定期的な歯周病のメインテナンスと歯の喪失について調べた2015年のシステマティックレビュー・メタ解析では、5年以上追跡した8つの研究をまとめた結果、メインテナンスを定期的に受けていた人は、受診が不規則な人に比べて歯を失うリスクが有意に低く、リスク比は0.56でした。
これは単純に言えば、研究上は歯を失うリスクがおよそ44%低かったということになります。(PubMed)
もちろん、「定期検診に行けば誰でも44%歯が多く残る」という意味ではありません。
歯の寿命には、歯周病やむし歯の状態、喫煙、糖尿病などの全身状態、歯磨きの習慣、食生活など、さまざまな要因が関係します。
それでも、定期的なメインテナンスを受けることと、歯を失うリスクの低下が関連していることは、注目すべきデータです。
日本では80歳で20本以上の歯がある人が61.5%います。
日本でも、以前と比べて自分の歯を多く残す人が増えています。
厚生労働省の「令和6年歯科疾患実態調査」によると、80歳で20本以上の歯が残っている「8020達成者」は61.5%でした。
前回の令和4年調査では51.6%だったため、約10ポイント増加しています。(厚生労働省)
「年を取れば歯がなくなるのは仕方がない」という考え方から、適切なケアによって自分の歯をできるだけ残していく時代へ変わってきているといえるでしょう。
当院でも毎年8020コンクールへの参加者を募集しています!
なぜ「痛くなる前」のチェックが重要なのか?
むし歯や歯周病は、初期には自覚症状がほとんどないことがあります。
むし歯では、痛みが出る前に進行している場合があります。歯周病も、かなり進行するまで強い痛みが出ないケースがあります。
そのため、「痛くないから大丈夫」とは限りません。
当院の定期検診では、歯の状態(虫歯や噛み合わせ)だけでなく、歯ぐきの腫れや出血、歯周ポケット、プラークの付着状態などを確認します。異常を早い段階で見つけられれば、必要な治療や対応を小さくできる可能性があります。
歯は治療すればするほど弱くなります。
むし歯になった歯を削って詰め物をする。
その後、詰め物の周囲から再びむし歯になる。
さらに大きく削って神経を取り被せ物をする。
このように、一度治療した歯が再び治療を必要とするケースは珍しくありません。
一本の歯で4回ほど治療を受けると次は抜歯が治療となってしまうこともあります。
天然の歯は、一度削ってしまった部分が元の状態に戻るわけではありません。
だからこそ、歯科医療では「悪くなったところを治す」だけでなく、できるだけ大きな治療を避けるための管理も重要になります。
定期検診の間隔についても注意が必要です。
「歯科検診は全員半年に1回」と一律に決められるわけではありません。
研究では、すべての人に同じ検診間隔を設定することについて、十分な根拠があるとはいえないとされています。特に歯周病のメインテナンスでは、患者さんのリスクに応じた管理が重要です。(PubMed)
むし歯になりやすい人、歯周病の治療を受けた人、喫煙習慣がある人、歯磨きが苦手な人などは、より注意深い管理が必要になる場合があります。
当院ではそれぞれの患者さんの虫歯、歯周病リスクをデータで評価して個人に合った間隔(1〜6ヶ月)ごとの定期検診をお勧めしています。
大切なのは「半年に1回」などという数字だけにこだわるのではなく、自分の口の状態に合った間隔を歯科医師と相談することです。
