手足口病は歯科でも注意が必要?口の中にできる症状とケアについて
- 2026年9月11日
- お知らせ
2026年夏 手足口病が流行しています。
「子どもの口の中に口内炎のようなものがある」「手や足にも発疹が出ている」「痛がって食事をしてくれない」

このような症状がある場合、手足口病の可能性があります。ただし、口内炎や発疹を伴う病気はほかにもあるため、症状だけで手足口病と断定することはできません。
手足口病は、主に乳幼児を中心に夏季に流行するウイルス感染症です。名前のとおり、手や足だけでなく、口の中にも水疱(すいほう)や潰瘍のような病変ができることが特徴です。
今回は歯科の視点から、手足口病による「口の中の症状」や、歯磨き・食事の際に気をつけたいポイントについて解説します。
手足口病とは?
手足口病は、コクサッキーウイルスA16、エンテロウイルス71(EV71)など、複数のエンテロウイルスによって起こる感染症です。特に乳幼児に多く、毎年夏を中心に流行します。
感染してからおおむね3~5日程度の潜伏期間を経て、口の中や手のひら、足の裏などに水疱を伴う発疹が現れることがあります。発熱する場合もありますが、発熱しないこともあります。多くは数日から1週間程度で自然に軽快しますが、症状の経過には個人差があります。
まれに髄膜炎、脳炎、心筋炎などの合併症を起こすことがあるため、全身状態の変化には注意が必要です。特に、ぐったりしている、意識が普段と違う、繰り返し嘔吐する、呼吸が苦しそう、けいれんがあるなどの場合は、速やかに医療機関を受診してください。
手足口病で「口の中」にどんな症状が出る?
歯科の立場から特に知っておきたいのが、口腔内にできる水疱や潰瘍です。
舌、頬の内側、口の中の粘膜などに小さな水疱や潰瘍ができることがあり、痛みを伴う場合があります。
そのため、
● 食事を嫌がる
● 水分を取りたがらない
● よだれが増える
● 歯磨きを嫌がる
● 熱いものや酸味の強いものを嫌がる
といった変化が見られることがあります。
日本小児科学会の資料でも、手足口病では口腔・咽頭粘膜に痛みを伴う水疱がみられることがあるとされています。
なお、口の中の病変だけでは手足口病と判断できない場合があります。ヘルパンギーナ、ヘルペス性歯肉口内炎、アフタ性口内炎など、似た症状を示す病気もあるため注意が必要です。
手足口病のとき、歯磨きはどうする?
「口の中が痛そうだから、歯磨きをしなくてもいいの?」
と心配される保護者の方も多いでしょう。
手足口病で口の中に痛みがある場合は、痛みを強くするほど無理に歯磨きをする必要はありません。特に口内の病変に歯ブラシが当たると痛みが増すことがあるため、患部を強くこすらないようにしましょう。
一方で、痛みが許す範囲では、歯垢を取り除き、口腔内を清潔に保つことも大切です。
例えば、
● やわらかめの歯ブラシを使用する
● 強くこすらない
● 痛い部分を避けて磨く
● 短時間で優しく磨く
● うがいができる年齢なら水ですすぐ
など、子どもの状態に合わせてケアしましょう。
「痛いから歯磨きを完全に中止する」のではなく、痛みの程度を見ながら、できる範囲で口腔ケアを行うことがポイントです。歯磨きが難しいほど痛みが強い場合は、無理をせず、症状が落ち着いてから通常の歯磨きに戻していきましょう。
食事は「刺激の少ないもの」を
手足口病による口腔内の病変は、食事や飲水の際に痛みを伴うことがあります。
そのため、食事は無理に普段どおりにする必要はありません。本人が食べやすい、やわらかく刺激の少ないものを選ぶとよいでしょう。
例えば、
● ゼリー
● プリン
● ヨーグルト
● おかゆ
● やわらかく煮たうどん
● 冷ましたスープ
などが挙げられます。
一方、柑橘類など酸味の強い食品、辛いもの、塩分の強いもの、熱すぎるものなどは、口腔内の病変を刺激して痛みを強くすることがあります。
食事量が一時的に減ることはありますが、特に注意したいのは**水分不足(脱水)**です。口の中が痛くて水分まで取れない、尿が少ない、口や唇が乾いている、ぐったりしているなどの様子がある場合は、早めに小児科などの医療機関へ相談してください。
手足口病なら歯科を受診してもいい?
「口の中にできものがあるけれど、歯医者に行ったほうがいい?」
という疑問もあると思います。
手足口病そのものに対する特効薬はなく、基本的には症状に応じた対症療法が行われます。
発熱や発疹など全身症状がある場合、まずは小児科などの医療機関への相談が適しています。
一方で、口の中の症状について、
「手足口病なのか、普通の口内炎なのかわからない」
「歯ぐきが腫れている」
「口の中の痛みが長く続いている」
「手足口病が治った後も口腔内の症状が改善しない」
といった場合には、歯科医院で口腔内を確認してもらうことも選択肢になります。
ただし、手足口病は感染力があるため、受診する際には、手足口病の疑いがあることや発熱・発疹などの症状を事前に歯科医院へ伝え、受診方法を確認することをおすすめします。歯科医院によっては、感染拡大防止のため受診時間や対応を調整する場合があります。
また、口の中の症状だけで手足口病と判断することはできません。自己判断で決めつけず、必要に応じて小児科や歯科などに相談しましょう。
また子供の病気と思われがちな手足口病ですが大人でも感染することがあり、子どもに比べて重症化しやすいと言われています。
そのほとんどは一緒に生活する子供からの感染で症状が改善した後もしばらく便中にウイルスが排出されることがあるためです。そのため、オムツ交換後やトイレの介助後には、流水と石けんでしっかり手を洗うなど、基本的な感染対策を続けることが大切です。
手足口病は、症状がなくなった後も一定期間ウイルスが排出されることがあるため、「発疹が消えたら感染の可能性が完全になくなる」とは限りません。登園については、全身状態や食事・水分摂取の状況などを踏まえて判断し、園の基準も確認しましょう。
手足口病と歯科で知っておきたいポイント
手足口病は「手と足に発疹が出る病気」というイメージがありますが、実際には口の中の症状も重要な特徴のひとつです。
特に子どもの場合、口の中の痛みから食事や水分を嫌がったり、歯磨きを嫌がったりすることがあります。
大切なのは、
「痛みがあるときは無理をさせない」
「できる範囲で口腔内を清潔に保つ」
「水分が取れているか確認する」
「症状が気になる場合は医療機関へ相談する」
ということです。
また、手足口病による口内炎と、一般的な口内炎や他の感染症による口腔症状は見た目だけでは判断が難しい場合があります。
「子どもの口の中に水疱がある」「口内炎がたくさんできた」「歯磨きをすると痛がる」など、気になる症状があれば、無理に自己判断せず、小児科や歯科医院に相談しましょう。
まとめ
手足口病は、乳幼児に多く見られるウイルス感染症で、手足だけでなく口の中にも水疱や潰瘍などの病変ができることがあります。
口腔内の痛みが強いと、食事や水分摂取、歯磨きにも影響するため、保護者の方による適切なケアが大切です。
歯科医院では、手足口病そのものを治療するのではなく、口腔内の状態を確認し、必要に応じて口腔ケアについてアドバイスすることができます。
お子さんの「口の中の痛み」「口内炎」「歯磨きを嫌がる」といった症状で心配なことがあれば、お気軽に歯科医院へご相談ください。